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2015.10.17
【アトリエより】道具 ー包丁とメスー

 カミーユ・フォルネ ジャポンのアトリエでは様々な作業を行っており、日々作業に最適な道具を使用しています。その多種多様な道具の中より、これから数回にわたり「毎日使用する道具」についてお話ししようと思います。
 
 今回は「包丁」と「メス」という革を裁つ時に使用する道具です。一言で「裁つ」といいましても、硬いクロコダイルや柔らかいカーフ、合成皮革のような裁ちにくい物から、これらを何枚も貼りあわせた厚みのある物まであり、それを真っ直ぐまたはカーブを付けて裁たなくてはいけません。私達は様々な状況に合わせ、「包丁」と「メス」を使い分けています。



 まず「包丁」ですが、革包丁は皮革専用の包丁です。主に大きな原皮から必要な分だけ裁つ時、大まかに革を裁ちたい時に使用します。持ち手に親指をかけて握り、体重を乗せるように力を入れると、厚みのある革も容易に裁つことが出来ます。しかし、そのためには手入れを行うことが大切で、切れ味が落ちてきたら砥石でしっかり研がなくてはいけません。この「研ぐ」という作業も「裁つ」ことと深い関係があり、道具の手入れを充分に行える技術も職人には必要とされています。その「研ぐ」技術を持って切れ味を保ってこそ、革包丁本来の役目を発揮します。



 次に「メス」についてですが、包丁とは異なり替刃式となっています。アトリエでは医療用のメスを使用しており、これはとても珍しい道具といえます。包丁の刃の厚みは2mm程度あるのに対して、メスの刃は0.4mmととても薄く、ナイフやカッターでは出せない繊細さを表現することができますので、型紙通りに裁ちたい時やほんの0,1mm程度裁ち落としたい時に重宝します。切れ味の面では包丁に勝りますが、その分切れ味は長くは持ちません。包丁とは力の入れ具合も変わり、容易に裁つ事が出来る分、刃の角度が変わりやすく自分が思っている以上に裁ってしまうので、扱いがとても難しいです。 

 革を裁つ時は基本的にこの2つの道具を使用し、大きく裁ちたい際は包丁、0.1mm単位の精密さを出したい時はメス、とその時々に合わせて使い分けを行っています。ただ革を所用の寸法や形に切る「裁つ」という行為ですが、原皮から必要な分を裁つ作業の始まりでもあり、製品を型紙通りに裁つ最終的なプロセスでもあります。どちらの「裁つ」も、使う道具は違えど、同じ緊張感を持って取り組んでいきたいと思っています。






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